あごの吹き出物に私がゲンタシンを塗らない理由とは?

ゲンタシンといえば抗生物質の塗り薬で最もポピュラーなものの一つです。皮膚の感染症に対しとりあえずゲンタシンを出す医師も多くいます。また、ネット上でも「ゲンタシンは安全な薬」と無責任な書き込みも見受けられます。あごの吹き出物に対してゲンタシンは有効か考察しました。

ゲンタシン軟膏とは

ゲンタシン軟膏は主成分がゲンタマイシン硫酸塩の抗生物質のお薬です。抗生物質は「細菌」を殺すお薬です。抗生物質にはいくつかの種類がありますが、ゲンタシンはアミノグリコシド系の抗生物質です。広域なスペクトラムを有し様々な菌に作用します。

ゲンタシン軟膏はスペクトラムが広いため吹き出物以外にも様々な皮膚疾患に対して処方されます。

ゲンタシンの添付文書によると

〈適応症〉

表在性皮膚感染症,慢性膿皮症,びらん・潰瘍の二次感染

となっています。

医療現場では様々な皮膚感染症・2次感染症予防に対して処方さますが、ニキビ・吹き出物に対してゲンタシンが処方されることは少ないです。吹き出物に対する外用の抗生物質だとアクネ菌に作用するダラシンやアクアチムが処方されることのほうが一般的です。

あごの吹き出物にゲンタシンは効果あり?

あごの吹き出物にもゲンタシンは一定の効果が期待できます。もちろん効く人・効かない人がいます。

ニキビ・吹き出物ができる原因は

  1. 皮脂過剰
  2. アクネ菌など細菌の増殖
  3. 炎症
  4. 角質のつまり

が相互的に関係して起こります。ストレス・食事・スキンケア・ホルモンバランスなどの要因がこれらに影響を与えニキビや吹き出物ができます。

ゲンタシンなどの抗生物質は「アクネ菌など細菌の増殖」をおさえることで吹き出物を改善させます。(アクネ菌に直接聞くというよりも黄色ブドウ球菌に効きます)ところが、ニキビ・吹き出物は上記の4つが複合的に起こっているため、「細菌の増殖」という一つの事項だけに働きかけても現実的には完治させるのが難しいものです。

また、最近は抗生物質の乱用により「耐性菌」という抗生物質が効きにくく進化した菌が増えており、抗生物質が効かないことも多々あります。

ゲンタシン軟膏の副作用

外用の抗生物質は内服ほどの効果はない一方で、内服と比較して副作用も少なめではあります。

かゆみ・赤みなどの過敏症状が起こることがあります。症状が続くなら医師に相談の上中止しましょう。

また長期連用することで腎障害・難聴が起こることがあります。

私があごの吹き出物にゲンタシンを使わないワケ

私はあごの吹き出物に対してゲンタシンは使いません。ゲンタシンだけではなくそのほかの抗生剤の軟膏も使うのは控えています。その主な理由は2つあります。

その1.耐性菌の問題

日本人は抗生物質が大好きです。ただの風邪に対してでさえも抗生物質を飲みたがります。ちなみに風邪のほとんどは細菌ではなくウイルス感染症なので抗生物質を飲む意味がありません。このように抗生物質の乱用によって、細菌は耐性を獲得しやすくなります。

耐性というのは、もともとは効いていたはずの抗生物質に対して、生き残ったアクネ菌が増殖して抗生物質の効きにくい細菌に進化してしまうことです。そのような抗生物質の効きにくくなってしまった細菌を「耐性菌」といいます。

耐性菌はとても大きな問題です。あごの吹き出物だけの話ではなく、耐性菌は様々な疾患において問題視されています。

例えば細菌感染による肺炎にかかった時に耐性菌が出てしまうと、使える抗生物質が限られてしまいます。肺炎が治らないとしたら命に係わることです。肺炎だけではなく、様々な感染症における耐性菌は命を脅かす可能性のある非常に深刻な問題なのです。

安易な抗生物質の使用は避けるべきです。

その2.肌のフローラを乱してしまう

細菌というと悪者のように思うかもしれませんが、ヒトは細菌と共生しています。むしろ細菌無くして人は生きることができません。腸内細菌で「善玉」とか「悪玉」とかはよく聞く言葉ですよね。ヒトの腸や皮膚には「常在菌」といって複数の菌が絶妙なバランスで存在しています。それをフローラ(細菌叢)と呼びます。フローラ…。かわいい響きです^^

皮膚のフローラは、肌のバリア機能に重要な役割を果たしています。そこにゲンタシンのような抗生物質を塗り付けたらどうなるか…。その他常在菌までも死滅し、皮膚のフローラが乱れてしまいます。

アトピー性皮膚炎は皮膚のフローラの異常が引き起こすという研究データもあるくらい、肌にとって需要なフローラ。ゲンタシンを使用することでフローラを乱し肌のバリア機能を低下させてしまうと肌荒れにつながり吹き出物ができやすくなるというパラドックスに陥りかねません。

因みに吹き出物に抗生物質の内服が処方されることがありますが、抗生物質の内服によって健康維持に欠かせない腸内フローラが乱されてしまいます。

ゲンタシンなどの抗生物質があごの吹き出物を根本的に治す効果があればまだいいのですが、たいていの場合は抗生物質をやめると吹き出物が再発してしまいます。

そう考えると繰り返すあごの吹き出物にゲンタシンを塗るのはデメリットの方が多く感じます。

ゲンタシンをあごの吹き出物に使うときの注意点

ゲンタシンを含めた抗生物質の使用はあごの吹き出物に対しておすすめできませんが、どうしても期間限定で使ってみたい!急ぎで吹き出物を治さなければいけない事情(結婚式など)があるなどの場合、使うときには注意が必要です。

  • あごの吹き出物の幹部にだけに限局的に塗るようにしましょう。吹き出物の患部以外の皮膚に塗っても、予防効果はありません。むしろ肌のフローラ(細菌叢)を乱してしまい、肌荒れにつながります。
  • 塗る回数は1日1回~数回です。
  • 中途半端な期間の使用は耐性菌につながってしまいます。医師の指導の下で使いましょう。
  • 塗った後は手を良く洗いましょう。手の皮膚にもゲンタシンがついていると、今度は手の皮膚のフローラを乱し、手荒れにつながります。
  • 妊娠・授乳中は使用を控えましょう。

ゲンタシンを使わずに急ぎであごの吹き出物を治す方法

あごの吹き出物を早く治したいなら、手っ取り早く自分でできる方法の一つは「ビタミンCパルス療法」(←勝手に私が命名)です。要はビタミンCを大量摂取する方法です。

ビタミンCが肌にとって重要なのは有名な話ですが、ニキビ・吹き出物にとってもめちゃくちゃ重要です!

「そんなの知っているよ。サプリを飲んでいるけどあごの吹き出物は良くならなかった」という方もいるかもしれませんね。あなたはどの程度の量のビタミンCを摂取していましたか?

ビタミンCで大切なのは「飲む量」です。ちなみに私は毎日最低3000㎎以上のビタミンCサプリを服用しています。これはレモン30個分のビタミンCです。

吹き出物やニキビが気になるときはもっと量を増やします。10000㎎=10gまで増やすこともあります。

ビタミンCは一気に飲むのではなく何回かに分けて飲むことが大切です。例えば1回1gを1日3回など。水溶性ビタミンなので、すぐに排泄されてしまうからです。

ビタミンCは抗酸化作用、皮脂抑制作用、抗炎症作用があります。さらに「殺菌作用」も確認されおり感染症に対する効果も確認されています。

吹き出物だけではなく、様々な肌トラブルに役立つのがビタミンCです!

ビタミンCの素晴らしいところはゲンタシンなどの抗生物質のような副作用がないことです。強いて言えば飲みすぎるとビタミンCが腸管から吸収されずおなかを管差うことがあるくらいです。

ビタミンC3000㎎以上の内服を心掛けています。

まとめ

ゲンタシンは細菌を殺すことであごの吹き出物をよくする作用があります。しかし耐性菌の問題や皮膚のフローラを乱してしまい肌のバリア機能を低下させてしまう恐れがあるため、私は吹き出物へはゲンタシンは使いません。どうしてもあごの吹き出物にゲンタシンを使いたい場合は期間限定で医師の指示の下で使うことをお勧めします。

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アラサー女医。 勤務医をしながら子育てをしている。 夫・子供と3人暮らし。 妊娠糖尿病を機に断糖肉食を自ら実践中。 診療にも栄養療法を取り入れている。 チャレンジ精神旺盛で常に何かに挑戦している。 趣味は読書・投資・旅行。子供の教育を兼ねて数年後の海外移住を計画中♪