妊娠糖尿病で赤ちゃんが「小さめ」といわれて心配。障害は?

妊娠糖尿病と診断されただけでも不安な中、「赤ちゃん小さめです」と何気なく医師に言われると、さらに不安が増しますよね。赤ちゃんに障害はないのかとか無事に生まれてきてくれるのかとか。赤ちゃんが小さい原因、小さい赤ちゃんのリスク、妊娠糖尿病の赤ちゃんに対するリスク、お母さんにおすすめの栄養について書きました。

妊娠糖尿病。赤ちゃんが小さめ原因は?

妊娠糖尿病になり、かつ赤ちゃんが小さめといわれると心配になりますよね。本来、妊娠糖尿病により高血糖が続くと4000g以上の巨大児になるリスクがあります。巨大児の原因は過剰なブドウ糖が赤ちゃんに運ばれ、「インスリン」という血糖を下げるホルモンが多量に分泌されるのが原因と考えられています。もちろん、遺伝的に大きい赤ちゃんだったということもあり得ます。

しかし、当然妊娠糖尿病でも赤ちゃんがなかなか大きくならない、むしろ小さいということもあり得ます。とはいっても、妊娠中の赤ちゃんの大きさはあくまで推定なので、生まれてみたら、小さくなかったということも多々あります。

赤ちゃんが小さめな原因は、遺伝・体質、染色体異常、心臓などの形態異常、お母さんの喫煙・飲酒などの生活習慣、風疹などの感染症そして栄養不足などがあげられます。

遺伝・体質は変えられないにしてもお母さんの生活習慣であれば変えることができますよね。

そしてお母さんに栄養不足があるのであれば、正しい栄養の知識をつけることで栄養状態をよくすることができます。

増える妊婦の痩せと低出生体重児の増加

ここ数年、小さめの赤ちゃん低出生体重児(2500g未満)の割合が増えています。1970年代には5%程度だった低出生体重児が最近では1割程度にまで増えています。10人に1人が小さめの赤ちゃんとして生まれてくる…。それはどうしてなのでしょうか。

それには妊婦さんの栄養不良が深くかかわっていると推測されています。

低出生体重児の割合の増加と比例して、出産適齢期の日本人女性の体重や摂取カロリーの低下が著しく、今は20代の女性3人に1人がBMI18.5未満の「痩せ」です。

国家レベルでこれほどまで出産適齢期の世代の痩せが目立つ国は稀です。

厚生労働省の食事摂取基準によると20代女性は1950kcalですが、実際の平均摂取エネルギーは1600kcal台と著しく低いです。

「痩せている」ことが美しいという日本社会の価値観を根底に、多くの若年女性はダイエットに励んでいるからでしょう。多くというより、ほとんどすべての女性はダイエット経験があるのではないでしょうか。ファスティングや野菜中心の食事、肉・卵などの動物性食品を控える、脂肪を控えるなどの食事に取り組んだことがない女性はいないといっても過言ではありません。

妊娠した後もそのような食習慣が抜けず、赤ちゃんが栄養不良で小さめになってしまう…。女性の食生活が次世代にも影響を及ぼしてしまうのです。

小さめの赤ちゃん。障害は?

赤ちゃんが小さめといわれ、実際に低出生体重児として生まれた場合どのような障害があるのでしょうか。

出生体重の低下で発症リスクが高まることが分かっている疾患

  • 虚血性心疾患
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • メタボリック症候群
  • 脳梗塞
  • 脂質異常症
  • 神経発達異常

赤ちゃんが小さめだと、このように生活習慣病のリスクが高まります。

妊娠糖尿病の赤ちゃんに対するリスクとは

妊娠糖尿病についておさらいです。

そもそも妊娠糖尿病って?

妊娠糖尿病とは妊娠中にはじめて発症、あるいは見つかった糖代謝異常のことです。糖代謝異常とは、血糖値は基準よりも高いけれど糖尿病と診断されるほどではない状態のことです。

食事から糖分を摂取すると血中のブドウ糖の濃度が上昇します。本来、インスリンというホルモンにより血糖値が下がるのですが、妊娠糖尿病の場合はインスリンが効きにくい状態になっているため血糖値が高いままです。

ここで強調したいのは、妊娠糖尿病では「インスリンというホルモンは分泌されている」ということ。あくまでインスリンが効きにくい状態なわけです。

ところが今の妊娠糖尿病の治療は「カロリー制限食」「インスリン注射」です。

カロリー制限食は必然的に糖質量が多くなり高血糖をきたします。それをインスリン注射下げる治療が行われますが、なにせ妊娠糖尿病とはインスリンが効きにくいのです。そのためインスリン単位がどんどん増えてしまうことがあります。

妊娠糖尿病の赤ちゃんへの影響は?

妊娠中に血糖値が高いまま放っておくと、様々なリスクが高まります。

流産や早産、巨大児、低出生体重児、先天性奇形、子宮内胎児死亡などのリスクが高くなります。そして妊娠高血圧症候群、羊水過多症、尿路感染症などの合併症を起こしやすくなります。新生児は低血糖症、呼吸障害などが起こるリスクもあります。

カロリー制限食で本当に大丈夫?矛盾だらけの栄養学

妊娠糖尿病になると医師からは「カロリー制限食」するように指導されます。ここに疑問を感じませんか?

そう、カロリー制限してしまうと、赤ちゃんに対する栄養が足りなくなりますよね。

カロリー摂取不足による女性の痩せが、小さい赤ちゃんが増えていることと関係していると推測されていると上述しました。それなのに、妊娠糖尿病でカロリー制限してしまったら…。赤ちゃんの栄養はどうなってしまうのでしょうか。

妊娠中お母さんは赤ちゃんの分も栄養を摂る必要があります。これは当然ですよね。厚生労働省は妊娠30週以降の妊娠後期には2750kcalの栄養を摂ること推奨しています。

それにもかかわらず今の妊娠糖尿病の食事は1600とか1800kcalとかのカロリー制限食です。そして中身は「炭水化物が60%」です。これでは栄養が不足することはもちろん、糖質量が多すぎて高血糖になってしまいます。血糖値を上げておいて、そのうえでインスリンを打つ。すごく矛盾した治療です。

何よりお母さんが低栄養だと赤ちゃんも低栄養になり小さめになるリスクが高まります。

妊娠糖尿病で赤ちゃんが小さめといわれたら、食事はどうすればいいか

では妊娠糖尿病ではどのような食事を摂るべきでしょうか。私は低糖質・高たんぱく質・高脂質の食事が必要だと思います。具体的にはご飯やパンなどの糖質を控えて、肉・卵・チーズ・魚などのたんぱく質をしっかり摂取する。たんぱく質が豊富なこれらの食材は、脂質も豊富です。

私自身も妊娠糖尿病では糖質制限とMEC食をしてきました。栄養も満たされ、かつ血糖値も安定します。

糖質は必須栄養素ではありません。一方、たんぱく質と脂質は必須栄養素で、食事からとらなくてはいけません。必要な栄養を摂取し、不要な栄養を控える、という考えが大切です。

これは妊婦じゃなくても万人に言えることですが。

まとめ

妊娠糖尿病で赤ちゃんが「小さめ」と医師に言われると不安になりますよね。赤ちゃんが小さい場合、考えられる原因は複数ありますが、変えることができるのはお母さんの要因です(生活習慣、栄養など)。もちろん遺伝によるものもありますし、生まれてみたら小さくはなかった!ということもよくあります(小さめというのはあくまで推定体重です)。

今回は特に妊婦さんの栄養に注目して記事を書きました。赤ちゃんが小さく生まれる割合は最近増加傾向にあり、それは出産適齢期の女性の「痩せ」の増加と連動しているからです。出産適齢期の女性の「痩せ」は栄養摂取の不足から来ています。お母さんの栄養状態が赤ちゃんの成長と深く関係するのは当然ですよね。

妊娠糖尿病でも栄養不足が起きます。それは妊娠糖尿病では「カロリー制限」を指導されるからです。私自身は妊娠糖尿病にカロリー制限は危険だと考えています。当然、栄養不足で赤ちゃんが小さめになることはあり得ます。カロリー制限食よりも糖質を控えて脂質・たんぱく質などの栄養をしっかり摂ることが、妊娠糖尿病のコントロールおよび赤ちゃんの成長に重要だと私は考えています。

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ABOUTこの記事をかいた人

アラサー女医。 勤務医をしながら子育てをしている。 夫・子供と3人暮らし。 妊娠糖尿病を機に断糖肉食を自ら実践中。 診療にも栄養療法を取り入れている。 チャレンジ精神旺盛で常に何かに挑戦している。 趣味は読書・投資・旅行。子供の教育を兼ねて数年後の海外移住を計画中♪